神待ち

台風が接近していたある日のこと。
今晩には、僕の住んでいた地域に直撃するらしく、勤め先では早々に退社指示が出た。
外は傘も持っていられないほどの強風で、横殴りに雨が襲ってきた。
今日は早く帰っておとなしくしていようと思った僕だが、毎日の習慣で、帰りの電車の中で神待ちサイトをチェックした。
サクラが多いサイトだが、さすがに今日は見分けがつく。この状況で台風に触れていない書き込みは完全無視だ。
「台風来るよー」「神様助けてー」「今日はマヂに神待ちすぎる」「野宿は無理だ、ぎゃー!」とか、掲示板は神待ち少女の悲痛な叫びに溢れていた。
一人くらい拾ってあげてもいいかな?と、僕は最寄り駅で神待ちしている女性をピックアップしてみた。
その人の名前は、凛さんと言った。僕よりもやや年上で、30代の人妻。今晩だけ、台風を凌げるところを探しているそうだ。
降り立った駅のホームでコンタクトを取ってみると、即座に反応が返ってきた。
何時にどこで待ち合わせようかとスマホ片手に考えていると、ふと、隣に座っている女性も同じようにスマホを触っている姿に気付いた。
レインコートを羽織った女性である。漆黒のロングヘアーが水に濡れて輝きを放っている。
僕は、ふと気になって、何の気のないメッセージを打ち込むと、その女性も同じようにスマホを動かしていた。
テレセ
会話の中で、凛さんが同じ駅にいることが分かった。
そして、スマホ操作とメッセージの受信のタイミングから、隣の女性こそ凛さんであることに僕は気づいてしまった。
しかし、スマホ操作に集中している凛さんは、全く僕の存在には気が付いていないようである。
凛さんは、旦那とケンカした勢いで家を飛び出してきたものの、カードを持ち出し忘れて、更に台風が直撃と、踏んだり蹴ったりの状況に陥ってしまい、そんな自分を救ってくれる神待ちをしていたのだ。
僕は、すぐに名乗り出ればよかったのだろうけど、ちょっと意地悪心から焦らし焦らしで結論を先送りしていた。
徐々に必死になっていく凛さんの書き込みが、僕のサド心をくすぐったというか。
焦る凛さんの書き込みが、僕の焦らしにやがて期待から失望へと変わっていく。
「神待ちしていたけど神様っていないのかも」
その書き込みに対して、僕は声に出して言った。
「いや、いるんじゃないですかね?」
驚いてこちらを向いた凛さんを、僕は笑顔で出迎えた。
ほべつに
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